燗酒のすゝめ ~温めるとさらに美味しい日本酒~
ここ数日、日本列島は寒さに凍えています。
こんな時はお燗酒で温まりましょう!
お燗酒は、体に優しいお酒の飲み方です。
アルコールの吸収が早く、飲んだ分酔いがまわってきます。
飲んでから酔うまでのタイムラグがないので、『気が付いたらぐでんぐでん…』ということも少ないのです。
今回は、お燗酒を愉しんでいただくための基礎をご紹介したいと思います。
<Contents>
お燗酒は、その温度によって呼び方があるのはご存知ですか?
知っていれば、ちょっと通な感じがする、燗の表現はこちらです。
5℃刻みで呼び方があるなんて、なんと几帳面なんでしょう!
このあたり、日本人だなという感じがします。
間違えやすいのは『冷や』の表現です。
冷やとは本来、常温 のことなのですが、
名前から冷えてる感がするので、冷たくひやしたお酒と勘違いしている方が多いようです。
冷やしたお酒は、『冷酒』と言いますので、『冷酒』ください!と言えば間違いなしです。
『日本酒をあつ燗で!』
↑この注文方法は要注意です。
例えば、その飲み屋の方が、燗の表現を知っていた場合ですよ。
お燗酒にこだわってる場合ですよ。
その場合、出てくるお燗酒は50℃前後です。
これは、かなりあっちいです。
お燗酒の温度は、人によって好みがありますので、
本当にアツアツのお酒が好きな方であれば、全く問題ありません○
がしかし、上記の図に書いてあるように、日本酒は50℃以上になると、ふくよかさが損なわれ、辛く感じます。
私は、アツアツだとお酒の蒸気でむせてしまうので、
優しい口当たりに感じる、日向燗(ひなたかん:30℃前後)~人肌燗(ひとはだかん:35℃前後)が好みです。
どんな日本酒も、燗にすれば美味しくなるというわけではありません。
その日本酒の造り方や味わいによっては、燗をおすすめしないものもあります。
また、燗の温度にしても、熱くても旨みが損なわれにくいもの、逆にぬるい温度で飲んだ方がよいものなど、
お燗酒もなかなか奥が深いのです。
一般的に、燗しておいしいお酒は、
『旨みや酸味が多く、味のしっかりしたボディの強いお酒』
と、言われています。
例えば、純米系のお酒で、ドシっとした酒(生酛造り、山廃仕込み)は、燗上がりします。
<用語説明>
生酛造り:自然に生息する乳酸菌を繁殖させて造る、非常に手間暇がかかる造り方。味は濃厚で飲み応えがある。
山廃仕込み:生酛造りから派生した造り方で、生酛造りの工程の『山卸』という作業を省略した造り方。(山卸:米を櫂ですりつぶす重労働)
燗上がり:お燗をすることで旨みが上がること。
例えばこちら。
燗して美味しいお酒と言えば、かなりの有名どころです。
~ 福島県 ~
大七 純米 生酛
(だいしち じゅんまい きもと)
※価格をクリックすると、各商品の詳細ページが開きます。
濃醇タイプ のお酒は、上燗(45℃前後)や熱燗(50℃前後)でもいけます。
また、アルコールを添加して造られている 本醸造酒は、温度変化に強いことから熱燗に向いているそうです。
旨甘口好きなら、ハズせない!
~ 大分県 ~
西の関 手造り本醸造
(にしのせき てづくり ほんじょうぞう)
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コスパ良し!毎日、燗で飲みたいお酒。
~ 大分県 ~
上撰 八鹿 笑門
(じょうせん やつしか しょうもん)
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シャープで淡麗なタイプ のお酒は、人肌燗(35℃前後)やぬる燗(40℃前後)でどうぞ。
特に、純米酒はこの温度がおススメです。
~ 兵庫県 ~
千羽鶴 純米酒
(せんばづる じゅんまいしゅ)
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反対に、香りを楽しむ大吟醸や、フレッシュさを味わいたい生酒などは、
常温や冷酒で飲む方が、そのお酒の持ち味を損ないません。
そもそも日本酒は、『合わない食べ物が極めて少ない酒』だと思います。
ある意味 最強の食中酒 。
前菜やおつまみですと、熱燗には冷たいつまみが良く合います。
お燗酒全体では、乾き物よりも汁気の多いもの、例えばサラダよりはお浸しがおススメです。
ナスの煮浸しなんてイイデスネ!
そして、メインの食事では、やっぱり『温かい料理』が良く合います。
鍋物、煮物、焼き物、蒸し物など。
アツアツの鍋にはぜひお燗酒を!
お燗酒の最大の特徴は、料理の生臭さを抑える働きが強いということです。
刺身、魚卵、焼き物、煮魚、珍味など。
これらと一緒にアルコールを飲んだとき、生臭さを感じることがあると思います。
お魚が嫌いじゃなくても、ちょっと気になりますよね。
お燗酒は、この生臭さが気にならないところが、ホントにすごい!
なにも、和食だけではありません。
軽やかでミルキーな白い料理(鶏肉、生クリーム系)には、乳酸系が合います。
乳酸系といえば…そうです 生酛造り のお酒ですね!
温度帯によって変化する味わいを愉しむ。
~ 北海道 ~
男山 生酛 純米酒
(おとこやま きもと じゅんまいしゅ)
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また、甘くて香ばしいドルチェのあてには、こっくり系のお燗酒が合います。
山廃純米 なんておススメです。
山廃仕込み特有の『濃厚な香味と酸味』の調和がとれた個性豊かな純米酒。
~ 石川県 ~
天狗舞 山廃仕込純米酒
(てんぐまい やまはいじこみじゅんまいしゅ)
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『湯煎』が一番おススメです。
湯煎にもいろいろと方法があるようですが、一番失敗がなさそうなものを紹介します。
① 日本酒を徳利の9分目くらいまで入れる。
(香りや旨みを逃がさないために、徳利の入口にラップをしておく)
② 鍋にお湯を沸かして、沸騰したら火を止める。
(お湯の量は、徳利が肩まで浸かる程度)
③ 火を止めた鍋に①の徳利を入れて、好みの温度になったら取り出す。
ちょっと③の工程で見放した感が出てしまいましたが、
これは好みの温度と酒器の種類などによって、徳利をつける時間が変わってきます。
何度か試して自分のベスト時間を探してみてください。
なるべく短時間で、お燗するのが旨みを逃がさないコツの様です。
うェーん!めんどくさーい!
めんどくさがりなあなた。
手軽にレンチンで済ませたい事かと存じます。
レンジは急激に温度が上がったり、温まりにムラができたりするようなので、おススメではないそうですが、
レンチンも、ちょっとした工夫で今より美味しくお燗酒が作れるんですよ~!
まず、徳利の口は必ずラップで覆ってください。
お酒1合(180ml)の場合、500Wの電子レンジで約40秒加熱すると、人肌燗程度に温まるそうです。
温まりのムラは、徳利をふりふりしてどうにかこうにか調整してください。
(箸を入れて攪拌すればよいです)
ちなみにネットで検索すると、レンチン用の酒器も出ているようなので、
気になる方は、検索してみてください。
お燗にしてもバランスの崩れない飲み応え。
~ 新潟県 ~
濃厚純米 米の極
(のうこうじゅんまい こめのきわみ)
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ちなみに我が家には、数年前に姉にせびったこちらの酒燗器があります。
こちらは、今の時期かなり活躍しています。
ネットで調べてみると、電気で好みの温度に温める電気酒燗器があるようですよ!
これいいなァ~
日本では昔から特別な客をもてなす際に、お燗酒をふるまう風習があったそうです。
手のかかるお燗酒を、飲む人の好みに合わせて作る。
日本人のおもてなしの心って本当に素敵ですね。
ゆったりとくつろぎながら、あったかい日本酒をいただく。
日本酒はそのままでも十分美味しいお酒ですが、
温めることにより、リラックス効果もあり、心も体もほっこりします❤
この寒い季節に、ぜひ日本酒を燗で愉しんでみてください♪
※ 各商品の販売価格は、2018年1月現在のものです。